YOGAの歴史 History of YOGA
YOGAのルーツ
インドといえば多くの方がヨーガを連想するように、インドを象徴する伝統的な神秘技法として、古くから日本でも親しまれているヨーガ。そして、いまや世界中で認められ、実践されているヨーガですが、そもそもその起源はいつで、どういう形でスタートしたのでしょうか。
ヨーガの起源は、インド史の起源と同じ、今から4500年ほど時をさかのぼったインダス文明にあるといわれます。インダス文明は、世界四大文明の中でもとりわけ謎が多く、いまだ古代文字さえ解明されていない神秘の文明です。そのインダス文明を代表する二大遺跡として、モヘンジョ・ダロとハラッパーの遺跡がありますが、この遺跡の発掘も1920年代になって始まったばかりなのです。その出土品の中から、ヨーガの坐法を組んで瞑想にふけるような彫刻をほどこした「印章」が数点発掘されたのです。それが瞑想だったのか、それとも単なる不思議な坐り方だったのかは、いまだ謎に包まれたままですが、後にヨーガが発達していくプロセスで、坐法のルーツを示す明快な根拠がないことから、おそらくこの時代に、インド原住民が瞑想という神秘行法を行う習慣があったのではないかと推察されています。
このように、非常にあいまいな根拠のもとに「ヨーガ五千年の歴史」が掲げられているわけですが、インダス文明そのものが、正確にいつごろの文明かさえも定かではない今、その真偽を確かめる術は皆無といえます。
YOGAの育ての親
ヨーガの生みの親がインダス文明にあることは、上でご紹介した通りですが、ヨーガを育て上げたのは、インダス文明やインドの原住民ではないと考えられています。ヨーガの哲学や行法を確立したのは、紀元前1800年ごろ、インドに侵攻したアーリア人によるものと考えられています。
アーリア人は、ヒンドゥー教の前身であるバラモン教を信仰し、あらゆる自然現象の背後に神様が宿ると考え、祭壇を構えてお祈りをすることで、その神々と交流できると考えていました。その儀式の手順や形式、祈りの言葉などが書かれた「ヴェーダ聖典」には、荒削りながらかなり哲学的な考え方が記されています。そして、そのヴェーダの哲学こそが、ヨーガ哲学のひとつの源流となっていくのです。
アーリア人は、当初このヴェーダ聖典に従い、大がかりな儀式によって神と交流しようとしていましたが、莫大な出費から経営難に陥り、徐々に大規模な儀式をやめ、哲学を探究する方向へ重点をおくようになります。
この考え方は、「ウパニシャッド」という古典文献にまとめられているのですが、そこではじめてヨーガという言葉が、精神統一の行法として世に登場します。精神統一(瞑想)によって、心と五感が完全にコントロールされた状態、それがヨーガであると紹介されているのです。
インダス文明にその根を持つ瞑想が、皮肉にもその侵攻者によって哲学実践の方法として高められ、紀元前3世紀ごろにヨーガと呼ばれるようになっていたのです。
YOGAの誕生と進化
ウパニシャッドからさらに月日が流れ、それまで輪郭のはっきりしなかったヨーガが、紀元前2世紀(紀元後5世紀という説もある)に、一つの実践システムとして確立されるようになります。「ヨーガスートラ」の誕生です。
この教本は、現存するヨーガの古典文献の中では最も古いもので、今もなおヨーガを学ぶ上でのバイブルとされています。インド哲学の一流派である「サーンキャ哲学」をベースに、瞑想によって深く集中し、自分とは何か、どう生きるべきかを、自らの内側から見出す方法としてヨーガが紹介されています。同時にヨーガを深めるための八つの方法が示されています。これはラージャヨーガのところで詳しくご紹介しますが、八支則と呼ばれ、多くのヨーガ行者の道しるべとなっています。
ただ、このヨーガスートラで紹介されているラージャヨーガは、ヨーガの王道でありながらも、瞑想というあまりにストレートなアプローチをとるため難易度が高く、融通がきかないという面を持っています。この短所をサポートするために、そして他のアプローチをとるために、様々な行法が開発され、さらにその行法から様々な流派が生まれ、時を経て無数のスタイルのヨーガが派生していくことになるのです。